不妊治療
一般不妊治療について
タイミング療法

超音波・血液・基礎体温表などから排卵の時期を推定し、医師から指示のあった日に性交渉をすることで自然妊娠を目指す方法です。排卵誘発剤を使用する場合もあります。
AIH(人工授精)

人工授精は、排卵日当日に採取していただいた精子を細い管で子宮内に注入する方法です。(凍結精子を融解し使用する場合もあります。)
超音波・血液・尿検査などで排卵の時期をに推定します。
軽度の男性不妊の場合や性交障害等により、タイミングがとれない場合に適用されます。卵管造影検査等にて卵管の疎通性が確認されていることが必要です。
ART (体外受精・顕微授精) について
ARTとは、体外に取り出した卵子と精子を人為的に受精させ、そこで得た受精卵(胚)を培養し、再び子宮内に戻す医療のことです。現在の不妊治療において、最も高度な技術を要する治療とされています。通常、一般不妊治療(タイミング療法や人工授精)では妊娠が難しいと判断される場合に適応となりますが、不妊期間が長い、女性が高齢、その他不妊原因が不明な場合でもARTを選択するご夫婦が増えています。現在では日本で産まれる子どものうち、およそ16人に1人がARTによって誕生しているといわれています(2018年現在)。
ART(体外受精・顕微授精)の流れ
@卵巣刺激
妊娠率を上げるために必要な最初のステップです。ARTの妊娠率を左右する最大の要因は卵子の質と数です。良好な卵子をいくつ採取できるかが妊娠率につながります。より多くの卵子を採取するために、ホルモン剤(内服薬と注射薬)で卵胞の発育、排卵をコントロールしながら、卵胞を発育させます。

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A採卵・採精 ※採卵時の麻酔についてはこちらをご覧ください。 |

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B受精 ●卵子活性化 |

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C第二極体の観察 |

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D受精確認・培養 ●レスキューICSI
●タイムラプスインキュベーター |

E凍結 |

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F胚移植 ●胚の評価 ●PGT-A |

E黄体ホルモンの補充
移植後は移植した胚の着床を助けるために、内服薬や膣剤で黄体ホルモンを補充します。

F妊娠判定
血液検査によりhCGを測定し、妊娠判定を行います。月経のような出血があっても妊娠が成立している場合がありますので、判定日までは黄体ホルモン剤を続け、判定日
には必ず受診してください。
麻酔について
採卵の際は、適応やご希望に応じて、意識をなくす全身麻酔(静脈麻酔)をお受けいただくことができます。また、子宮鏡下手術、子宮内膜掻爬術、流産手術などの手術は、全て麻酔下で行います。麻酔を担当する医師が専属で患者さんに付き呼吸管理等を行いますので、安心してお受けください。
採卵・手術当日は処置ベッドで点滴を行い、OPU室で点滴ラインから麻酔薬(鎮静剤+鎮痛剤)を投与して麻酔を行います。麻酔の影響により呼吸が弱くなるため、マスクを通して酸素を送ります。手術中・採卵中は、入眠し意識がないため痛みはありません。採卵・手術終了後は数分〜10分程度で目が覚めますが、その後数時間はベッドで安静にしていただきます。
麻酔による副作用としては、吐き気、めまい、頭痛などがあります。これら麻酔の影響による症状は翌日には消失することがほとんどです。
※肥満の方(BMI30以上)は、気道確保が困難になるなど麻酔リスクが上昇するため、麻酔を選択いただけないことがあります。