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第25回:不妊治療の最前線(2013年10月19日放送の内容)

河村由美さん
さて今週は「不妊治療の最前線」についてお話を伺っていきたいと思います。

最近、他人から精子や卵子を提供してもらい妊娠するといった話題をよく耳にします。このあたりの詳しい情報について教えていただけますか?

俵史子院長
日本では、1949年から提供精子による人工授精(AID)が行われ、多くの子供が出生しています。一方、卵子提供については法制化には至っておりません。国内では卵子提供の治療を受けにくい現状から、海外で卵子提供を受けるカップルも少なくありませんでした。昨年行われた「我が国における卵子提供後分娩実態調査」では、卵子提供による妊娠は117例、うち海外での提供が93例と報告されています。

河村由美さん
国内での卵子提供はどういう状況ですか?

俵史子院長
今年の1月に、生まれつき卵巣機能が低下しているターナー症候群の患者家族らが、卵子提供登録支援団体を起ち上げています。ボランティアによる卵子提供者を募り、すでに相当数のドナーが登録されているようです。また社団法人JISARTは、独自のガイドラインに基づき、2007年から加盟施設で卵子提供による治療を行っています。ただし年齢が高いことにより妊娠できない夫婦は対象となっておりません。

河村由美さん
精子提供・卵子提供の問題点はなんでしょうか?

俵史子院長
産まれてくる子が、遺伝上の親を知り得ないという点が最大の問題となるでしょう。低い確率ながら、近親婚が起こる可能性につながるおそれがあります。また、事実を知った時の子供のメンタル面の問題が危惧されるなど、問題点が指摘されています。

また卵子提供による妊娠は、遺伝的に全く自己と異なる胎児を身体に宿すという、自然界ではありえない現象です。実際、母児間の免疫学的不均衡から起こる妊娠高血圧症候群が多く認められています。何らかの妊娠合併症を有した症例は68%に上ると報告されています。また分娩時の出血量も多く、卵子提供による妊娠・分娩はハイリスクと考えられています。

河村由美さん
また第三者による代理出産ということも耳にしますが・・・

俵史子院長
妻の卵子と夫の精子を受精させ、第三者の子宮に移植し、妊娠成立後は分娩までを第三者にゆだねることです。法律的には、我が国を含め多くの国において「分娩した女性が出生した子の母親であること」を前提としているため、「子の遺伝上の親であっても、法的には母親になれない」という現状があります。精子・卵子提供は、アメリカやヨーロッパの多くの国で盛んに行われていますが、代理出産については各国意見が分かれています。アメリカやイギリスなど一部の国に限られているのが現状です。


河村由美さん
これまで約半年間に渡ってお届けしてきた「たまごサプリ」ですが、実は来週が最終回の放送となります。来週は、これまでの放送を振り返りながら「リスナーの皆さんから寄せられたメッセージ」を中心にお届けしたいと思います。

不妊治療 俵IVFクリニック

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